アメリカで英語を使って仕事できるか?できます【カフェ経営編】

アメリカでカフェ経営

目次

ある日突然アメリカでカフェのオーナーとなってしまう

アメリカでカフェ経営

海外で生活していると言うと「いいな〜」とか「かっこいい〜」など憧れの眼差しで見られることが多いです。
し、しかし!!一流企業に勤めていてからの海外赴任、ビジネスで大成功している人などでない限り現実はそんな甘いもんではありません。
私も日本で特に取り柄もない貯金も人生もフツーの会社員でした。
そんな人間がアメリカで生きていくには働くしかない!!です。
私の海外での就労経験を給料も含めてひとつひとつ赤裸々に?お話していこうと思います。
今回はカフェ経営編です。

私の当時の英語レベル(自己評価)

リスニング ★★(日常会話は何を言っているのかは大体理解できるレベル)
スピーキング★★(簡単な単語を並べてコミュニケーションとれる程度の低レベル)
ライティング★★★(翻訳家になりたかったのでがんばっていた)
リーディング★★★★(辞書を使えば専門書以外はまあまあ読めた)

ある日突然カフェ経営、3000万円の借金生活が始まる

借金3000万円

なぜ私がカフェの運営を突然することになったかと言うと夫がある日突然売りに出ていたカフェを買ったから。
詳細は省きますが、店頭にも立ち、内側のこともやり、本当に大変な日々でした。

【労働条件】
●額面は30万円くらいにしていたが実際の手取りは10万くらいだったかも?
●車通勤、モール内に駐車
●年中無休(月1日休んだかどうか・・・)

この仕事を始めるそもそものきっかけ

私はコーヒーが好きで、日本でぷーしている時に少しだけコーヒー屋の仕事をしていた(別の機会にお話しします)のでいつか田舎で小さなカフェをやりたい、という漠然とした夢は持っていました。
夫がある日予兆もなくカフェビジネスを買ってきたのですが、買ってきたのは現存するカフェです。
要は営業中のカフェを従業員も商品も家賃も全てひっくるめて買う、というものです。
今あるお店のオーナーになればいいだけなので自分たちで商品を買いそろえる必要が無いためビジネスを始めやすい、というメリットはあります。その分、高額になりがちです。

サインしてしまっている。もうやるしかない!

日本の売買契約と一緒でアメリカでも頭金を入れて契約書にサインしてしまったら引き返せません。
一定期間内であれば頭金を捨てればキャンセルできたのでしょうけど、、金持ちでもないので捨てるわけにいきません。
金額からして正直、ブローカーにだまされたんだ、と思いました。

まず始めにしたこと【英語力向上】

日本人も多く暮らす地域ではありましたが、アルバイトは全員アメリカ人です。
お客さんも95%は非日本人。
そんななかで英語ができない私は針のむしろ状態。
逃げたい・・・

リスニングとスピーキング力を上げるため語学学校に通う

英語でコミュニケーションとらないと話にならない、仕事にならない、と思い語学学校に通うことにしました。
英語を学ぶために様々な国からの生徒が通っていました。
一般クラスにしばらく通ってリスニング力はついてきたかなと思いました。

プライベートレッスンに変更

話す力をつける必要があったのでプライベートレッスンに変更しました。
ピンポイントで仕事に使える表現なども教えてもらえてとても効果的でした。

横のつながりを形成していく

学校に通ったことで現地在住の日本人、日本語が多少できる中国人や韓国人などと知り合いになることができました。
海外で日本語でつながるのを嫌がる日本人もいると聞きましたが、私は彼らのおかげでメンタル面でもビジネスにおいても随分助けられました。
学校で知り合った中国人の旦那さんが日本に留学経験のある会計士だったり、日本文化に興味のあるタイ人の子から安い仕入れ先を紹介してもらったり、などなど。
ネットでそれらを探すこともできるでしょうが、顔の見える安心感はありがたかったです。

アメリカでカフェビジネスは楽じゃない

アメリカでカフェ経営は楽じゃない

未経験者がアメリカでカフェを始めるなんて無謀としか言いようがありませんよね?
その無謀者の経験をざっくりお話しようと思います。

売り物件になるには理由がある

なぜ前のオーナーがこのカフェを売りに出していたか?ということをまず考え、下調べするべきです。
私たちの買った物件は大きなショッピングモールに入っていました。
買って1年後にはモール自体の大改装が始まり売上が激減しました。
前オーナーがそのモール改装予定の事実を知っていたか否かは不明ですが、そのプランは売買成約時には既にあったと思われます。

過去の売り上げの推移から予測値を得る

売主から過去数年の売上の推移もきちんと見せてもらうことでそのお店が人気店だったのかどうかも推測できます。
ちなみにこのカフェの前年度の売上平均は月700万
この数字を主にドーナツとコーヒーで達成するのは容易ではありません。
この数字をどう見るかですが、毎日23万円分のコーヒーを売らなくてはいけない計算になります。
引継ぎ物件はとにかく下調べが重要です。

起業の際の弁護士は必要?

訴訟に備えて、というよりは合法的に起業するために弁護士にお願いします。
アメリカで弁護士無しで起業することはもちろん可能です。

《弁護士に依頼すべき主な事柄》

  • ビジネス名を登録する
  • 従業員を雇う届出をする
  • ビジネスプランを書いてもらう
  • 銀行にビジネスアカウントを開く

特にビジネスプランは重要で、明確で実現性のあるビジネスプランがないと銀行がお金を貸してくれなかったり、業者が取引してくれない、など経営は事実上難しくなります。
上記のような作業を外国人が個人で行うのは至難の技です。
お金はかかりますが、business attorneyという起業を専門にしている弁護士に頼みましょう。
私たちの起業の際にお願いした弁護士費用は15万円程度だったと記憶しています。

万が一訴訟などの問題の際は訴訟を専門にしている弁護士に頼むと良いでしょう。
私たちの場合、起業時お世話になっただけでその後お世話になることはありませんでした。

アメリカでカフェ経営。実際どんな仕事だったか?売上は?

アメリカでカフェ経営。実際どんな仕事だったか?売上は?実際どんな仕事だったか?売上は?

それでは私たち(主に私)がどのような仕事をしたか具体的にみていきましょう。
意気込んでいた夫は健康上の事情がありカフェ経営にはほとんど参戦できなくなってしまいました。

お店での仕事

●コーヒーなどの飲み物を売る
カフェラテなどのエスプレッソを使ったドリンクも提供していたのでエスプレッソマシーンの扱い方を学びました。
スチーマーでフォームがうまく立てられた時はうれしかったですね〜

●スイーツの販売
スイーツとは名ばかりでドーナツやマフィン、クッキーなど。
それらがあまり美味しくなかったので自分のお気に入りのベーカリーからの仕入れに変えたり、自分でパウンドケーキなどを焼いて(暴露)売ったりしていました。

●コーヒー豆の販売
コーヒー豆はフレーバーコーヒーからブルーマウンテンなどの高級豆まで30種類以上。
英語がまじでやばかった最初の頃はこの豆販売の仕事から覚えました。
袋売りと計り売りがあったのですが、最後の会計の金額さえ言えれば英語力は低くてもできる仕事だな〜と思っていました。

●コーヒーグッズの販売
コーヒーカップやタンブラー、その他主にコーヒーに関するグッズの販売。
これらは正直あまり売れませんでした。特にこだわりがなかったのが敗因であった気がします。

経営に関する裏での仕事

●アルバイトを雇う、給料を払う
アルバイトの管理は非常に大変でした。
アルバイトがレジのお金をくすねたり、信頼していたマネージャーが金庫からお金を盗んだり、常に目を光らせていなくてはいけませんでした。
でも英語を助けてもらったり、我が子のように愛しく思える時もあるので関わってくれたことに感謝しています。
採用の時はマネージャーとふたりで面接しました。

●銀行に入金
取引銀行に売上金を毎日入金に行きます。
毎日行くとひいきにしてくれる行員ができたりして色々力になってくれます。
もしあなたがオーナーとして飲食などの毎日売上の出るビジネスをするのであれば色々な意味で自ら銀行へ足を運ぶべきです。

●支払い
コーヒーなどの物品は大体が請求書払いです。
初めての取引など、付き合いの浅いところはチェック(小切手みたいなもの)払いです。
取引先への現金払いは無いと思って良いでしょう。

〈外注したこと〉

●会計・税金関係
毎月の収支や税金に関することは会計士にお願いしました。
毎月9万円くらい払っていたので安くはないですが、自分でやることは不可能と判断したためです。
アメリカには日本人の会計士もいますが料金は高めです。
おすすめは日本語ができる中国人会計士。彼らはどう節税するか真剣に考えてくれます。
何をするにも相手が日本人だから、という安心感は捨てましょう。

●ホームページ作成
IT知識はゼロだったため、知り合いをたどってホームページは作成してもらいました。
その後、ちょっとした内容変更やデザインなどいちいちお願いするのも手間だったしお金がかかることもあったので簡単な変更はできるようにしたいと思いプログラミングの超超超基礎とソフトを使った写真加工を習得。
こちらも知り合いのつてでITが得意な人に教えていただきました。

儲からなかったアメリカでのカフェ経営【収支報告】

毎月のおおよその収支を暴露します。
その他色々諸経費は省略。

※円で記載しています

売上:平均約500〜600万(最悪400万円台、最高900万円台)

人件費:約150万
ローン返済:約100万
物品請求書支払い:約150万
家賃、倉庫代、共益費:約60万
モールへのロイヤリティー:約50万(売上の10%)
水光熱費:約15万
会計士費用:約9万

ビジネス英語を学ぶ最強の環境だった

ビジネス英語を学ぶ最強の環境だった

アメリカ在住2年も過ぎると日常会話には不便を感じなくなってきます。
でも、、こんなもんでいいのか?と自問自答はしていました。
仕事に就くことで英語への関わり方や努力が一変します。

日常会話は割とすぐに上達する

数年住んでいれば特別努力しなくても友人や隣人との日常会話はある程度できるようになります。
今思えば単にできた気になっていたのかもしれませんが。
口語、いわゆるswear wordsばかり覚えて乱用する日本人を多くみてきました。
そしてそういった言葉を全く使わないアメリカ人もたくさんいることを知りました。

アメリカでのカフェ経営は非日常英語漬け

業者やモール、銀行の人たち、その他今まで日本語でも縁の無かった色々な業種の人たちとさまざまな内容の英語でのやりとりは楽ではありませんでした。というかやばい、、と心の底から思いました。
とにかくスピードが速いし、アクセントも多種多様、聞き取るのに必死でした。
「分かったふり」は相当してました笑
ただそのつけは必ず自らに返ってきます。

《英語上達のコツ》

たとえめんどくさそうにされても聞き返す癖をつけることが大切です。
疑問に思ったことを聞き返して更にもう一度家に帰ってから復習する、その繰り返しでした。
英語学習において疑問を放置しない習慣をつけることが上達のコツです。

3000万円の借金はどうなった?

3000万円の借金はどうなった?

2年続けた後カフェビジネスはすぐに売りました。
ショッピングモールが新しくなったため家賃も跳ね上がりトントンだった商売のこれ以上の継続は無理、と判断。
プラマイゼロで元の生活になんとか戻ることができました。
売れたから良かったもの買い手が現れなかったら今現在も借金地獄だったことでしょう。。

【まとめ】アメリカでのカフェ経営は収穫多いも困難の連続

毎月の売上はトントンで時にはマイナスになることもあり厳しい経営状態でした。
休みもほとんど取れず心身ともに疲れきってしまいました。
お店は結局2年余りで閉じることになったのでビジネスとしては失敗と言えるでしょう。
ここで学んだことは全て私の血となり、肉となり、知識と経験として残ってくれています。
貴重な経験でした。
海外での数千万の借金は夜も眠れない日々でしたが友人が「いざとなったら自己破産すればいいよ」って笑
肩の力が抜けた瞬間でした。

ちなみにグリーンカード保持者(永住権なし)の外国人が自己破産してもアメリカに住み続けることは可能です。
アメリカは自己破産しているひとはビックリする程たくさんいて、その記録は10年で抹消されます。