英語のライティング mini講座⑲ ダッシュの種類と使い分け

英語のライティング mini講座⑲ ダッシュの種類と使い分け

こんにちは!

翻訳業をしているよっしーです。

今日のmini講座では4種類のダッシュの種類と使い方の違いをまとめますので、英語のライティングの際の参考にしてくださいね。

英語のダッシュには種類があり、それぞれ使い方がきちんと決まっていることをご存知でしたか?

ダッシュの使い分けを知っておくことで英語のライティングに幅が出ると思いますので、この機会にしっかり身につけておきましょう!

目次

プロのライターならダッシュを使いこなそう

プロのライターが書いた記事などの文章には様々なダッシュが巧みに使われています。

ダッシュを使うことによって文章を読みやすくする同じ言葉の繰り返しを避ける、などの効果が期待できます。

更には、「素人の文章との差別化」を意識してダッシュを好むプロのライターも数多くいます。

ダッシュを使いこなせると文章にプロ感が出せるのです。

ダッシュの種類

ダッシュは句読点の一種です。

そのため、カンマの代わりに使う、ということも多くあります。

英語のダッシュは主に4種類あり、それぞれ明確な使い分けがあります。

  1. En Dash (–)
  2. Em Dash (—)
  3. Figure Dash (-)
  4. Swung Dash (~)

これらの4つのダッシュの呼び方は聞き慣れないかもしれませんが、覚えておいて損はないです。

章ごとにそれぞれのダッシュの使い方の違いをしっかり学習しましょう。

En Dash (–)の使い方

1のen dash (–)は長さでいうと2と3のちょうど中間になります。

主な使い方は3つあります。

  • 数、時間、期間などの幅を表す時
  • 試合結果や名前の対比
  • 複合名詞と単語を結合する場合

順番に見ていきましょう。

数、時間、期間などの幅を表す時に使う

日本語での「〜」の役割をするのがこのen dash (–)です。

数の他、いつからいつまでの様な曜日や年月日の期間の幅を表す時に使う句読点です。

そしてそのほとんどが次の接続詞を使って言い換えることが可能です。

between…and

from…to

through

例題でen dash (–)を使った文章と接続詞を使った文章の両方を見てみましょう。

The recipe calls for 10–12 eggs to make it right.

(The recipe calls for between 10 and 12 eggs to make it right.)

I will stay in England June–August.

(I will stay in England from June to August.)

We open Monday–Saturday.

(We open Monday through Saturday.)

いずれの文章もパッと見た時に分かりやすいのはダッシュを使った文章ではないかと思います。

ダッシュの本来の目的である「読みやすさ」と言う意味で理にかなった使い方と言えます。

試合結果や名前の対比に使う

試合の結果などは間にen dash (–)を入れて表示します。

Tigers beat Giants 5–1.

・・・特に阪神ファンというわけではありません笑

✅ スポーツの試合結果を文中で表示する際には他のダッシュを使わない様に気をつけましょう!

Sugishita-Kameyama Partners lasted for 7 seasons.

・・・テレビのシリーズものの「相棒」を例にさせていただきました。

複合名詞と単語を結合する場合

複合名詞とは2つ以上の単語を結合する形で意味をなすものです。

その複合名詞の後、または、前にen dash (–)を配置し、3つ以上の単語を結合することで意味をなすひとつの言葉を作ります。

その際はハイフンではなくen dash (–)を使うことを覚えておきましょう。

En Dash (–)はハイフンよりもやや長めです。

例題をいくつか載せておきますね。

The US Open–winning player shall receive more prize this year than last year.

I use lens with a focal length of 35 mm for a full–frame camera.

He purchased lots of pre–workout supplements at the store yesterday.

プロであってもハイフンとen dash (–)の使い分けができていないライターは多くいますが、気付く人は気付きます。

他者と差をつけたい、と思ったら押さえておきたいポイントです。

Em Dash (—)の使い方

Em Dash (—)はダッシュの中で一番長いものです。

ほとんどの場合、ダッシュの前後にスペースを入れても入れなくても良いです。

Em Dash (—)は様々な使い方がありますが、それぞれ読み手の注意を引きやすい効果を期待して使用することが多いです。

  • カンマや括弧の代用
  • コロンの代用
  • 話の方向性を変える時
  • 人名や名称、地名などを明言しない場合
  • 名言とその作者の羅列

では例題とともに順に見ていきましょう。

カンマや括弧の代用

和文に比べると英文ではあまり括弧を使いません。

その括弧の代わりにem dash (—)がよく使われています。

また、カンマの代わりに使うこともよくあります。

Em Dash (—)を使った文章、使わない文章を見比べてみてください。

The black cat — which suddenly came into my life — disappeared exactly one year later.

(The black cat, which suddenly came into my life, disappeared exactly one year later.)

I don’t know who — or what — to blame for the accident in the river.

(I don’t know who (or what) to blame for the accident in the river.)

Em Dash (—)を使用してもしなくても意味的には差は出ませんが、使用した文章の方が読み手の注意を引きつけやすいかと思います。

コロンの代用

日本語でもそうですが、英語でも材料など単語を羅列する際に分かりやすいようにコロンを使います。

英語ではコロンの他、em dash (—)もよく使います。

Ingredients — wheat flour, butter, sugar, and eggs.

(Ingredients: wheat flour, butter, sugar, and eggs.)

There are three different flavors — chocolate, coffee, and green tea.

(There are three different flavors: chocolate, coffee, and green tea.)

話の方向性を変える時

急に話の方向性を変えたり、日本語で言うところの「ていうか」と書きたい時などに間にem dash (—)を挟むとそのニュアンスが出せます。

会話文だけでなく空想や自問自答など頭の中での思考の転換の際にもem dash (—)が用いられます。

He was telling you about missing money—wait, never mind.

I am telling you about the schedule—oh, did you fill out the form by the way?

✅ 話の方向性を変える時に使うem dash (—)は前後にスペースを入れません。

人名や名称、地名などを明言しない場合

日本語で書くと東京都立○○高校出身など、具体的な名称や地名を避ける必要がある際に英語では○○ではなくem dash (—)を使います。

The serial killer was born in — — in Florida.

The mother’s name is L — — a J K— — n.

What the—

最後の「What the—」は驚きを表現する時や文字に表したくない言葉、いわゆる「bad words」などをem dash (—)で代用表現します。

タイトルとその説明

最初にタイトルを書いてその説明を記述する際にはem dash (—)を用います。

Central Park — An urban park in New York City located between the Upper West and Upper East Sides of Manhattan.

Kinako — Roasted soybean flour.

日本語ならコロンを使いがちですが、単語の羅列ではないのでコロンに置き換えはできませんので気をつけましょう。

名言とその作者の羅列

名言に作者を添える際には通常作者の前にスペースを入れてem dash (—)を使います。

Imagination means nothing without doing.

— Charlie Chaplin

間違って他の種類のダッシュを使っているケースをよく見かけます。

気をつけましょう!

Figure Dash (-)の使い方

ダッシュの種類の中で一番短いもので、主に電話番号などの記述の際に使用します。

電話番号の様な数字の羅列に区切りが必要な場合以外でfigure dash (-)を英文のライティングに使用することはまれです。

03-555-555

090-555-555

Swung Dash (~)の使い方

Swung Dash (~)は和文でよく見かける「〜」と形は似ていますが、幅を表現する「~から」の意味では使用しません。

「~から」の意味をダッシュで表現したい時は前述のen dash (–)を使いましょう。

Swung Dash (~)は主に前述した単語、人名などの繰り返しの使用を避けたい時などに使います。

あまり多様はしないダッシュですが、英文は一文の中で同じ単語を繰り返し使わない傾向にあります。

一文の中で人名の記述の繰り返しは通常せず、代名詞を使いますが、swung dash (~)を代用することもできます。

また、辞書小説など限られた文字枠やスペースがある時などにswung dash (~)を使用することにより文字数を減らすことができます。

Pungent — having a strong odor that stings the nose, said especially of acidic or spicy substances. ; “The curry was ~ but it has lots of flavor.”

Pungentと書くべきところをswung dash (~)に置き換えています。

Mr. Martin was at home with me then, therefore ~ cannot be the driver and ~ should not be arrested.

この文章で使われているswung dash (~)は通常は代名詞のheで置き換えます。

代名詞を使うか、swung dash (~)を使うかは作者の好み、というところもありますが、同一記事やストーリー内で通常多用はしません。

ストーリーの中で重要な場面で単にheと書くより読み手の目を引く効果を狙う場合もあります。

ダッシュの種類と使い方まとめ

今日のmini講座はいかかでしたか?

ダッシュの使い分けについての概要は把握できたかと思います。

ダッシュは句読点の一種なので英語圏の書物やサイトにおいてはごく一般的に使用されます。

一方、非英語圏の人が書く英語においてはダッシュの使用は極端に少ないです。

その理由としてはカンマやピリオド、コロンなどを使えばダッシュの使い方を知らなくてもある程度の英文は書けるからでしょう。

ライティングに違いを出したい方はダッシュの使い分け、使い方を習得してみてくださいね!

日本語もそうかもしれませんが、英語も「たかが、されど」のルールが数多く存在します。

会話では曖昧でも大丈夫なことが、ライティングでは明確にしなければ通用しないことがたくさんあるので、これからもその辺の英語のライティング事情を取り上げていきたいと思います。

See ya next time!